第1話「分断」

これはあくまで妄想のお話。

 

もくじ

 

そう遠くない近未来。

アジアの超大国「漢中人民共和国」との戦争に敗れた「日本」は解体された。

次々と各県が集合し国として独立を果たした。

「ホッカイ」

エド

「オワリ」

「キョウト」

「フクオカ」

という五つの独立国が建国されたのである。

 

 

【ホッカイの構成都道府県及び首都】

・北海道

・青森

首都:札幌市

 

 

 

エドの構成都道府県及び首都】

・東京

・神奈川

・埼玉

・千葉

・栃木

・茨城

・群馬

・山梨

・秋田

・岩手

・宮城

・山形

・福島

・新潟

・富山

・石川

首都:東京市

 

 

 

【オワリの構成都道府県及び首都】

・愛知

・岐阜

・三重

・静岡

・長野

・和歌山

首都:岡崎市

 

 

 

 

【キョウトの構成都道府県及び首都】

・京都

・大阪

・兵庫

・奈良

・滋賀

・広島

・岡山

鳥取

・香川

・徳島

首都:京都市



 

 

【フクオカの構成都道府県及び首都】

・福岡

・長崎

・佐賀

・大分

・熊本

・宮崎

・鹿児島

・山口

・愛媛

・高知

首都:福岡市



 

 

 

 

沖縄は「リュウキュウ国」として独立宣言をしたが、

漢中人民共和国はこれを認めていない。



 

 

 

国が分断されたというその出来事は、多くの日本国民にとっては突然の事であった。

県境は国境と名を変え、自由に往来することができなくなった。

我が家へ帰るためなど、国境を越えようとする者は治安維持部隊に容赦ない拘束、あるいは射殺された。

国境の往来は、厳格に管理され通常は不可能であった。

 

 

かつて日本の都があったキョウトは、国民の4割が東京や神奈川などの関東人だった。

エドの国に帰れなくなった彼らはキョウト国民となり、東側地域にコミュニティを形成して暮らしていた。

元は同じ日本民族なので生活文化の違いもほとんど無く、皆問題なく暮らしていた。

 

キョウトの福井県にある原発「高浜原子力発電所」。

そこはキョウトの電力の多くを賄っている発電所

そして多くの雇用を生み出している施設でもあった。

そこには福井人の他、多くの関東人も勤めていた。

他にキョウト国民となった関東人が多く勤めていたのが「新長浜研究所」であった。

キョウトの滋賀県にあるそこは生物や化学などの研究を行っている施設で、多くの優秀な研究員が所属していた。

大規模な施設であるが、その研究内容の多くは謎に包まれていた。

そしてキョウト滋賀県の琵琶湖の周囲には急ピッチで多くのプラント工場が建設されていった。

そのプラント工場のほとんどは表向きはキョウト企業の所有であるが、その実は漢中企業の「控制有限公司」に実質的所有権があった。

キョウトに漢中資本が入ってきているなど、ほとんどの国民は知る由もない。

仮に知ったとしても、何の問題意識も待たなかったであろう。

 

 

旧日本の構成国であった5か国は、国交を断絶したわけではなかった。

電力以外のガスや石油などのエネルギーは、エドが海外から輸入したものを直通パイプラインを通じて他4か国に安価で輸出していた。

そうして旧日本各国は提供されたエネルギーを使って製造した工業製品を、エドに安価で輸出する。

エドが諸外国と貿易をして、旧日本エリアにその恩恵を提供する。

それが血となり肉となって、旧日本列島を巡った。

そうして旧日本5か国は経済を動かしていた。

このように5か国の国交貿易は盛んで良好な関係を築いていたのだ。

ただ一般国民の国境往来は厳格に制限されていた。

 

to be continued...

 

 

第2話「覚書」