第5話「江華」

 

もくじ

 

エド谷塚大統領は、

自国への外国資本の参入を許すことはなかった。

 

水道事業などの

ライフラインへの外国資本の参入を禁止。

 

原則エド企業の外国株主比率は10%を上限とした。

そして外国人参政権も認めなかった。

 

 

2年前、

エドの新興財閥「トクモグループ」の一人である大矢勝彦が

キョウトの不動産会社との合併による新会社設立を計画していた。

 

その株式の40%を漢中の大手不動産企業へ

売却する交渉をしていたことが判明。

そうするとエド領土に、

漢中資本が土足で入り込んでくる危険がある。

そこで谷塚大統領は、

大矢勝彦を脱税の罪で逮捕勾留した。

 

 

その事件の1か月後。

オワリで反政府運動が発生した。

エド派の川添春馬大統領の与党が勝利した議会選挙に不正があったとして、

「華」のエンブレムをつけた集団が議会ビルを占拠した。

再選挙が実施された結果、

親漢中派の弁護士・木村敏正が大統領に選出された。

 

続いてキョウトでも抗議デモが発生。

ここでも親エド派の村田大統領の選出に不正があったとして、

議会ビルが「華」のエンブレムをつけたデモ隊に埋め尽くされた。

再選挙の結果、親漢中派が擁立した森山拓海が大統領に選出される。

こうして漢中人民共和国の傀儡・森山拓海大統領が誕生したのである。

 

このような一連の反エド運動に谷塚大統領が反撃したのが、

次に起きた「札幌危機」だった。

 

ホッカイ札幌市でまたもや

「華」のエンブレムをつけたデモ隊が起こした大規模な反政府暴動を、

ホッカイの神野一大統領は武力で弾圧した。

この武力制圧によりデモ隊に多数の死者が出る事となった。

 

漢中人民共和国はこれを強く非難。

国際調査団の受け入れを要求した。

しかし、エドの強い支持の元、

神野大統領はこれを拒否し、札幌危機は終了した。

漢中にとっても、エドと衝突することは

回避せざるを得ない事だったのである。

 

キョウト森山大統領の新政権が最初に行ったことは

関東人の弾圧だった。

福井県や石川県などに住むエド系住民に対する迫害を行った。

その実働部隊を担ったのが

「華」のエンブレムを掲げた武装集団だった。

彼らは「江華連隊」と名乗り、

誘拐・監禁・脅迫・殺戮を生業とする武装集団だった。

江華連隊は次第にキョウト正規軍に併合され

キョウト国内の治安維持活動も行うようになっていく。

江華連隊の実態は、漢中人民共和国が組織した武装集団である。

彼らのルーツが日本人でないことは一目瞭然だった。

 

事態を看過できないエド谷塚大統領は

「犬山合意」の履行をキョウトに求める事を決める。

 

要は、既にキョウトの戦後復興は

終わったとみなし、

復興完了までの期間限定で

キョウトに渡していた石川県の領有権の

返還要求をしようというのである。

 

 

 

こうして行われた

エド・キョウト・オワリの三国首脳会談は

結果として決裂に終わった。

 

 

to be continued...

 

 

第4話「同胞」

 

第6話「決裂」